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AF447便事故 失速を認識していなかった可能性



AF447 Pilots Never Formally Identified Stall

aviationweek.com Jul 29, 2011

フランス事故捜査当局BEAは2年前に発生したAF447便事故の背景にパイロット訓練の欠陥があることを発見した。
  1. 今回明らかになったひとつが「高高度で速度表示が信頼できない表示になっている際の手順および手動操縦の訓練を同機副操縦士が受けていない」こと。
  2. AF447事故機の正操縦士は墜落に至る一連の状況が発生した時点で休息していた。同機はリオデジャネイロを出発し、パリに向かっていた。2009年6月1日の事故で搭乗乗客乗員238名が死亡している。
  3. ま た報告書では事故発生時点で正副操縦士がどのように同機を操縦していたで複数の疑問を呈している。「ピッチ姿勢と昇降速度のちがいを読み合わせる標準手順 が守られていなかった」とし、さらに「操縦士のどちらも失速警報に注意を払っていなかった」上に「操縦士全員に失速の認識がなかった」としている。 .
  4. この間の最初の90秒で機長は操縦席の外で休息していたが、飛行担当外パイロット(PNF)の呼び出しを受けて戻っている。その時点で操縦を担当していた操縦士は三名のパイロットの中で経験が一番浅かった。
  5. 今回の中間報告でBEAは安全確保の10項目を提言している。各国規制当局は訓練課程、点検項目を見直して、「手動操縦技術を目標にした訓練を定期的に行う」べきとしている。この訓練には高高度における失速状況からの回復を含むべきとしている。 .
  6. あわせてBEAは各国当局に副操縦士二名搭乗時での機長の役割を明確に定義するべしと提言している。また操縦席において迎え角表示を操縦士が参照できるようにするべきともしている。
  7. BEAは操縦席内にカメラを設置し、計器盤全部を記録する案を提唱している。その画像記録は厳格に定義された規則のもとで活用するべきともしている。
  8. 画像データはエアラインの運行管理センターに送付され、緊急時に該当機を特定することができるようになる。BEAは各国当局は緊急時無線発信機(ELT)の設置を義務付けることを検討すべきとも提言している。
  9. 最 終報告書は来年に公表される予定だ。今回の中間報告は7月29日発表の第三版で、再度同機は高高度で失速し、操縦士は機種下げのインプットをすることなく 機体姿勢が回復しなかったことを取り上げている。速度は正常範囲にもどったのは表示機ふたつでそれぞれ29秒後と54秒後のことだった。その時点で同機は 高度38,000フィートで185ノットと表示されている。この時には機体はまだ失速していないが、エンジン出力を絞り、当初の巡航高度35,000 フィートに戻れば機体制御は回復できたはずだ。しかし操縦担当パイロットは操縦スティックを引き、速度を急速に減速してしまった。これを残る二名のパイ ロットは放置していた。
  10. 降 下段階に入って飛行乗務員は機首上げの姿勢を保持していた。操縦担当パイロットは機首上げのインプットをし、出力をテイクオフ/ゴーアラウンド設定にして いる。BEAは「自動操縦解除後一分以内に同機は手動で機首上げのインプットをしたものの機体性能限界を外れていた」と報告している。

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