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MH370便事故>漂着したフラペロンからわかること、わからないこと

(T1, T4同時配信)一般報道ではみつかった部材を正確に描写しているものは少なかったように思いますが、さすがにAviation Weekは背景含め詳細に伝えていますので、ここに掲載することにします。なお、記事のあとで正式にみつかったフラペロンがMH370便のものであることが判明しています。捜索はむしろこれからですね。

Found Flaperon Fits MH370 Profile

Jul 30, 2015 John Croft and Guy Norris | Aviation Daily


16ヶ月にわたり精密な探査を展開してきたにも関わらず、マレーシア航空370便の痕跡は全く発見できていなかった。今回ボーイング777-200ERの機体の一部がはじめて発見されたが、使われた手段はごく簡単なものだった。ラレユニオン島に7月29日に波により運ばれた部品はオーストラリアが同機の燃料が完全になくなった地点とする範囲から西に2,500カイリ地点だった。
  1. 同機に何が起こったのかを完全に説明するにはまだ数年かかるだろうが、依然として同機の胴体部分はオーストラリア西方の南インド洋55,000 km2 のどこにあるのか特定できていない。捜索活動は最終的に 120,000km2 にまで広がるかもしれない。
  2. 今回発見された部品はMH370と公式には関連付けられていないが、発見されたとの報でマレーシア調査団がフランス海外県に駆けつけ、ボーイング777の右主翼のフラペロンである可能性が大と判断されている。フラペロンは軽量で密閉された複合材製部品で浮力がある。
  3. 内側外側それぞれのフラップの間に取り付けるフラペロンは動力により制御し、フラップとエルロンの双方の機能を果たす。今回発見された物体は777のフラペロンの形状と一致し、内部に記された番号はボーイングの整備マニュアルで定めた右フラペロンと一致する。
  4. 今後はフランス事故調査機関BEAのあるパリ郊外に運ばれる。
  5. 今回の発見から同機の最後の数分間の解明につながるかもしれない。墜落地点の推定には一時間ごとの衛星通信システム「ハンドシェイク」から専門家があたっているが、推定では機体はオートパイロットで飛行を続け、燃料が完全になくなり、推定範囲のどこかで着水しているとみられる。
  6. フラペロンの状態は概ね良好で後縁に破砕のあとが見られることから機体が海面に突入した際の角度が推定できそうだ。また機体の降下速度もわかるかもしれない。調査官はフラペロンが衝突時に主翼から分離したのか、海水による腐食で機体から分離したのかを突き止めることになろう。
  7. サンブランシスコ空港で滑走路着陸に失敗した2013年7月のアシアナ航空214便事故の777ー200ERのフラペロンがヒントになるかもしれない。同機の各種装備は概ね無傷で主翼についたままであったが、垂直方向の荷重は12Gに達しており、一部は降着装置がつぶれることで吸収されたようだ。
  8. 部材の表面にフジツボが密着していたことから洋上をどのくらい長く漂流していたかが推察される。調査係官による以前の試算では機体部材は西側へ漂流し、アフリカ東海岸におよそ18ヶ月から2年で到達すると見られていた。
  9. ただし漂着部品から逆に墜落地点を推察することには不明の点や変動要因が多く、捜索範囲の絞込に役立ちそうにない。
  10. 当局からの確認が出ないまま、一時は別の墜落機の部品ではないかとの見方も出た。これまでインド洋で墜落した機体の中には1987年の南アフリカ航空のボーイング747-200がモーリシャス近辺で、エチオピア航空のボーイング767-200が1996年にグランドコモレ島で、さらに直近では2009年にエアバスA310がやはりグランドコモレ島で消息を絶っている。747と767も複合材製のフラペロンを使っている。■

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