ターミナル1・4共通記事です。
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安全になっていく航空輸送
国際民間航空機関(ICAO)が2022年世界安全報告書を発表した。それによると、昨年の航空業界では2020年に比べ、事故が9.8%減少した。航空機事故による死亡者数は66%減少した。定期便の総便数が11%増加したにもかかわらず、各数字は減少した。ICAOは、安全性の向上は、業界全体での安全へのコミットメントによるものだと考えている。
実際、長年の航空業界における一般傾向として、今日では飛行機の利用はかつてないほど安全になっている。ハーバード大学の研究によると、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアでのフライトは、車の運転よりもはるかに安全だという。飛行中に事故に遭う確率は120万分の1で、その事故が致命的なものに発展する確率は1,100万分の1だ。逆に自動車事故での死亡確率は5,000分の1だ。
時間をかけて向上する安全性
マサチューセッツ工科大学(MIT)による2020年の研究では、過去数十年で航空会社の安全性がどのように向上したかを追跡調査している。2008年から2017年の10年間で、旅客機の死亡事故は以前の10年間と比較し大幅に減少している。航空機の乗客790万人につき1人の死亡率となったが1998年から2007年までは270万人につき1人の死亡率だった。
遡れば、その傾向はもっと鮮明になる。1988年~1997年の期間では、130万回の搭乗につき1人の死亡事故が発生し、1978年~1987年には75万回の搭乗につき1人の死亡事故が発生していた。1968年から1977年にかけては、35万回に1回と再び減少した。
MITで調査結果をまとめたアーノルド・バーネットは、当時、次のようにコメントしている。
「世界の死亡リスクは、10年ごとに2分の1に減少していた。この10年間はそれが続いているだけでなく、(最新の)改善は3倍近くになっている。飛行機がより安全になり、さらなる改善が難しくなっても、改善のペースはまったく衰えていない。これは実に素晴らしいことであり、人々が心に留めておくべき重要なことだ」。
もちろん、データには、地理的な違いもある。最も危険度の低い航空会社は、EU、中国、日本、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエルだ。これらの国全体で、2008年~2017年の死亡率は、搭乗者数3310万人あたりわずか1人だった。
逆にリスクの高い航空会社は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの一部を含む途上国からだった。これらの場所では、リスクは120万人の乗客の搭乗につき、1人の死亡事故であるとわかった。しかし、ここでも安全文化は劇的に向上しており、1998年から2007年までは40万回の搭乗につき1人の死亡事故が発生していたのだ。
航空安全を高めている要素とは?
今日の安全な空の旅には、多数の要素が関わる。乗務員、航空管制官、ディスパッチャーは、安全なフライトを確保するため協力し合い、計画に変更があれば、すべての関係者がミスを避けるため精査している。
航空機に乗るときは、高度な訓練を受け、認定された人たちと一緒に飛ぶことに安心感が持てる。アメリカでは、パイロットが民間旅客機に乗務するためには、最低1,500時間の飛行が必要だ。これは約9週間の連続飛行に相当する。また、客室乗務員も航空安全には欠かせない存在であり、訓練の大部分は、機内で乗客の安全と快適さを維持するために行われている。
さらに、航空機そのものの安全性能も重要だ。技術は10年ごとに飛躍的に進歩し、新しい機器やITがコックピットに導入され、ヒューマンエラーの可能性を制限している。エンジンは信頼性を高えめており、冗長性(プランBを持つこと)があらゆる重要なシステムに織り込まれている。
さらに、航空会社は厳しい規制の中で事業展開を迫られる。FAAやEASAといった組織は、すべての航空活動を監督し、メンテナンス、報告、トレーニング、オペレーションで厳しい要件を設けており、各フライトで安全を確保している。■
How Flying Today Is Safer That At Any Time In The Past
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PUBLISHED 2 HOURS AGO
Joanna Bailey (2774 Articles Published)
Managing Editor - Joanna has worked in publishing for more than a decade and is fast becoming a go-to source for commercial aviation analysis. Providing commentary for outlets including the BBC, CNBC, Reuters Thomson and others, she works closely with IATA, AviaDev and various airlines and suppliers to get the inside track on the global marketplace.
Riley Pickett (128 Articles Published)
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