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民間航空の安全水準はこれまでにない水準に IATA

MH370便の捜査が行き詰まりの中、IATAから航空安全の年次報告書がでてきたのは皮肉なタイミングみたいですが、業界全体として安全な方向へ向かっているのは間違いないと思います。犠牲者には申し訳ありませんが、着実に安全安心な空へ向かっていってほしいと願うばかりです。(本記事はターミナル1と同時掲載です。)

Commercial Aviation Safer Than Ever, But Problems Remain

IATA and ICAO sometimes miss the point about flight safety, placing analysis over action
aviationweek.com Apr 23, 2014Piere Sparaco | Aviation Week & Space Technology
Last year was considered a good one for airline safety.  However, 2010 was marked by the crash of this Air India Express Boeing 737-800, killing 158.
UPI/Newscom File Photo
国際航空運送協会(IATA)が50回目の年次航空安全報告書を公開し、エアライン業界がインシデント、アクシデント双方を減らしていると総括。IATA加盟エアライン各社(世界31億人の旅行需要の86%を運ぶ)では昨年の人身事故は小規模で、死亡合計210名未満と言う実績は航空旅行が一層安全になっている証拠だ。「事故ゼロ」と言う目標は達成不可能だが、安全維持が適切に行われることでゼロに近づきつつある。
報告書と並行してマレーシア航空370便の行方不明が波紋を投げかけている。そもそも最新鋭の長距離ワイドボディ機が一流航空会社の運営のもとで海上で行方不明になり、航空管制官のスクリーンから消え、しかも電子警告もなし無線連絡もなしに消え失せることが可能なのか。
今回の事件は耐えがたいものだ。IATAは安全問題を分解分割して、ときには現実問題から離れる傾向がある。ICAO(国際民間航空機関)は緊急を要する事態にもお役所的な対応をしてきた。エールフランス447便が2009年に大西洋上空で墜落した際も機体残骸の発見に貴重な2年もの時間を空費している。ATCデータの連続発信およびフライトデータレコーダーの電池長寿命化を採用すべき時が来たと言ってよい。
同様にコックピット内ボイスレコーダーの性能向上も待ったなしで実施すべき時に来ている。
安全問題に詳しい航空業界トップはいま必要なのは現場での活動であり、会議や作業部会は減らすべきだという。同様にICAOがあまりにも現実から遊離しているとの指摘もある。
IATA最新版報告でも事故調査官が考える最悪のシナリオには触れていない。それは説明のつかない墜落事故で、残骸もフライトレコーダーも見つからず、報告書の結論が出せない事態だ。この関連でマレーシア航空370便は保安体制強化が必要だと教えてくれる。今回はテロは関係していないとみられるが、乗客のうち2名はタイで盗難された旅券を使っていた。これインターポールのデータバンクで判明したが、警戒態勢の緩みでせっかくの国際的な保安体制の国際協力も無力に終わっている。
テロの脅威は依然として深刻だ。370便では関与していなかったとしてもクアラルンプール空港の保安チェック体制の弱点が明らかになり、おそらく他の空港でも同様の問題があるだろう。また、機体が発見されてフライトレコーダーの解明ができても事実の真相がそのままわかるわけではない。
IATA報告書は大規模事故の原因は共通と指摘しており注意が必要だ。飛行中の機体制御の喪失、地表へ衝突、滑走路への誤った侵入だとして、エアライン業界に技術改善、規制との調和、施設改善をIATAが求めている。
これ以外に双発ターボプロップ機で努力が求められる。2013年の事故統計ではジェット機(12件)、ターボプロップ機(16件)とターボプロップ機の方が多い。昨年12月現在でジェットが21,879機、双発ターボプロップは4,119機であり、後者の危険度は容認できる範囲を超えている。言い換えればまだ改善の余地があるということだ。■

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