スキップしてメイン コンテンツに移動

飛行中の機体情報を常時追跡できないのか エアエイジア機事故をめぐり


Missing Aircraft – Flight-Tracking, Data Streaming Back On The Agenda

Dec 30, 2014Rupa Haria and John Croft | AviationWeek.com
機体を飛行中も追跡・データストリーミングすべきとの意見がエアエイジアQZ8501便事故を契機に再度浮上してきた。機体残骸と乗客乗員の遺体はカリマンタン島沖で12月30日に発見されたが、3日も浪費している。そもそも最新技術を導入した機体が「蒸発」するとはどういうことかとの疑問が出た。さらに今回が初めてではなく、マレーシア航空ボーイング777-200が7ヶ月前にも消息を絶っている。

  1. MH370便とQZ8501便の相違点は明らかだ。QZ8501は報道によれば二次監視レーダーで追跡されていた。(二次監視レーダーは機体識別情報、機体位置、高度を8秒から16秒毎に把握できる) また自動従属情報発信(ADS-B)も同様の情報を毎秒送信していた。MH370便では飛行の早い段階で両方が機能を停止あるいは意図的に切られており機体監視システムが作動しなかった。
  2. QZ8501便では正確な位置情報・高度データが消失寸前まで出ていたが、飛行高度が高く、海流が早く捜索は広範囲にひろがった。捜索区域は合計7つ、各60カイリ幅になった。捜索三日目で機体残骸が見つかったがADS-Bの最後の発信位置に近かった。
  3. 緊急時位置情報送信装置(ELT)は機体にかかるGが一定以上になると作動する。ただし起動条件で信頼性の問題があり、今回のように機体が水没すると使いものにならない。
  4. QZ8501便のフライトデータ送信内容とフライトレコーダーが事故調査で利用できれば機体の状況、墜落地点が解明される。MH370便が行方不明になったことを契機に機体情報の常時送信が注目されたものの、既存機材に装備する費用と時間を考慮すると短期的には実現の目処がない。当面は最初から装備される新造機の増加を待つしか無い。
  5. MH370便事案を受けICAOが2016年にも世界規模のフライト追跡の標準化を提唱する予定だが業界筋によれば言葉はたくましいが、中身が伴っていないという。
  6. 長期的な解決方法もある。フライトデータをクラウドに蓄積し、事故発生や消息不明時に即座にデータを参照する方法が最も妥当と思われるが、飛行中のデータストリーミングは技術的に可能とは言うものの、データの整合性、保安性、信ぴょう性をまず確保しなければならない。
  7. もうひとつ技術革新がある。2018年にも稼働開始予定の新型捜索救難用衛星群に第二世代の緊急時位置情報送信装置を組み合わせ、遭難信号そのものを一新する構想だ。これとは別にNASAも業界と共同でELTの技術改良を行っており、2016年に登場すると緊急信号が従来よりも確実に発信できるようになる。■

コメント

このブログの人気の投稿

2024年11月5日、アリゾナ州、ホンダジェット、機内4名+地上巻き添え1名死亡―ホンダジェットで初の人身事故となった同機は離陸中止後に滑走路で止まりきれず、地上車両と激突した

Date: Tuesday 5 November 2024 Time: c. 16:39 LT Type:      Honda HA-420 HondaJet Owner/operator: Ice Man Holdings LLC Registration: N57HP MSN: 42000033 Engine model: GE Honda HF120 Fatalities: Fatalities: 4 / Occupants: 5 Other fatalities: 1 Aircraft damage: Destroyed Category: Accident Location: Falcon Field Airport (MSC/KFFZ), Mesa, AZ -   United States of America Phase: Take off Nature: Private Departure airport: Mesa-Falcon Field, AZ (MSC/KFFZ) Destination airport: Provo Airport, UT (PVU/KPVU) Investigating agency:  NTSB Confidence Rating: Information is only available from news, social media or unofficial sources Narrative: A Honda HA-420 HondaJet, N57HP, was destroyed when it crashed during a takeoff attempt from runway 22L at Falcon Field Airport (MSC'KFFZ), Mesa, Arizona. Four occupants of the aircraft, including the pilot, and the vehicle driver perished. ADS-B data suggests the airplane had accelerated to about 133 knots groundspeed before it ab...

お知らせ―新ブログの追加について

いつも当方のブログをご愛読いただきありがとうございます 昨年からの大きな流れが今年は形になり、私達の世界が大きく変わろうとしています。 より端的に言って、コモンセンスの勝利が続いています。 米国ではトランプを支援すると口にできなかった層が世論調査ではハリス支援、もちろん と答えたため世論調査は無効になってしまいました。 米国内が無茶苦茶になった理由としてこれまで民主党が支配してきたDEI思想など「目覚めさせる」ことをミッションとした「進歩派」の主張があまりにも前に出て、世の中がおかしくなっていくと感じつつも前述のように他人の目を気にして「支持」してきた人たちも、さるがにこれではおかしくなる一方だとトランプに一票を入れたのでしょう。 そうした人たちにとって唯一の選択基準はどちらが「コモンセンス」に近いかという点で、かならずしもトランプのすべてを肯定して一票を入れたのでしょう。(ハリスがあまりにもおかしすぎたと思ったはず) これまで航空宇宙や海軍関連、さらに安全保障などの話題を中心にお送りしてきましたが、ここに来てそれではカバーできない話題に注目するようになってきました。 そこで今回新しいブログチャンネルを追加することにしました。 タイトルをどうしようと考えて、コモンセンスなので「こもんせんす」にしようとしまいたが、尊敬する故江藤淳のエッセイ集こもんせんすとかぶるので「こもん・せんす」とします。  こもん・せんす でお送りしたいこと いわゆる「保守派』米メディアを中心に注目する記事をお伝えします。 それ以外に当ブログのオーナーとして気になる話題についてオピニオンをお伝えします。 当面は反DEIなどトランプ大統領のすすめる「改革」関連が多くなりそうですが、決してトランプ礼賛のブログにはならないでしょう。 ご期待ください。 なお、当ブログオーナーの運営するブログチャンネルは以下のとおりです。 航空宇宙ビジネスターミナル1 民間航空宇宙  https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ 航空宇宙ビジネスターミナル2 軍用航空安全保障  https://aviation-space-business.blogspot.com/ Aviation & Space News from Japan https://a...

済州航空のボーイング737-800が韓国の空港での墜落事故の第一報(Aviation Week)

  2024年12月29日、務安国際空港に墜落した済州航空737-800の残骸。 Credit: Chung Sung-jun/Getty Images 韓国の済州航空が運航していたボーイング737-800が12月29日務安空港でギアを格納したまま着陸を試みた後、コンクリート壁に衝突し、炎上破壊された。 7C 2216便は乗客175人と乗員6人を乗せ、バンコクから韓国南西部に位置する務安へ向かっていた。179人の乗客・乗員が死亡した。韓国国土交通省によると、乗員2名が救助されている。 韓国国土交通省は、フライトデータとコックピットのボイスレコーダーは回収されたとし、8人の航空事故調査官と9人の航空安全関係者で構成されるチームが現場にいると付け加えた。 この事故は、2024年における世界最悪の事故であり、12月25日にアゼルバイジャン航空のエンブラエル190型機がロシアの対空砲火を受け、カザフスタンのアクタウに墜落して以来、2度目の死亡事故となった。 済州航空機は当初、務安の滑走路01に進入中だった。同省によると、事故の6分ほど前、航空管制官が周辺に鳥がいるとの警告を発した。同省によると、その1分後(現地時間午前8時58分)、乗務員は最終アプローチ中に緊急事態を宣言し、迂回することを選択したという。また、フライトトラッキングサイトFlightradar24によると、航空機はその時点でADS-Bデータの送信を停止したという。 Flightradar24が公開したデータによると、同機は滑走路01への進入の最後の2分間、最大2,000フィート/分で一時上昇するまでの間、ほぼ700-800フィート/分の標準的な降下速度で飛行していた。 滑走路01へのショートファイナルで空港に進入する同機のビデオには、フラップとランディングギアを上げた737の姿が映っている。右エンジンは煙と炎を発していた。 同機はその後、滑走路19(現地時間午前9時3分に着陸を試みたのと反対方向の同じ滑走路)への着陸を許可された。 墜落のビデオには、着陸装置もフラップも展開されないまま滑走路を滑走する機体が映っている。長さ2,800メートルの滑走路の端をオーバーランした。航空機はその後、滑走路から数百フィート離れたコンクリートの境界壁に衝突し、炎上した。 エイビエーション・ウィーク・フリート・ディスカ...