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主張 航空事故が低くなっている現況をこのまま守るため何が必要か

お気づきかもしれませんが、今年は航空事故がかなり少なくなっており、過去5年平均の事故数、死傷者数を大きくしたまわっています。今年もほぼあと一か月ですが、このまま推移すれば画期的と言えます。当然5年前より航空業界の輸送実績も増えていますので今までの努力が実を結びつつあるのか、たまたま偶然に助けられているのかはわかりませんが、この分野で知見を持つジョン・ビーティ―が以下提唱されていますので耳を傾けてみましょう。

 

Aviation Week & Space TechnologyOpinion: How To Keep Accidents Low As Air Traffic Increases 主張:航空交通量が増える中で航空事故を低く抑えるためにすべきこと

Nov 20, 2017Jon Beatty | Aviation Week & Space Technology

ビジネス航空、商用航空ともに今年は事故実績が圧倒的に低いまま推移しており、航空安全が実現しているように見える。業界はそのほかの問題に関心を移しているが、このまま関心を低下させたままでいいのか。世界規模で航空交通量は今後20年間で倍増するので、安全実績が安定しても事故数そのものが増加しておかしくないのだ。
歴史的な事故発生率の低下と裏腹に事故が増えるとの見方もあり事故調査報告を読み取り次の段階の安全策を考えるべき時だ。通常の調査手法では単純な因果関係に着目することが多いがそれで潜在的要因すべてを洗い出すことは不可能であり、航空安全の専門家ジェイムズ・T・リーズンが呼ぶ「イベント軌道」に着目すべきで、望ましくないインシデントやアクシデントが発生するとの考え方だ。リアルタイムデータで安全情報を収集、配布、分析、共有できれば悲惨な事態が発生する前にイベント軌道を明確にできるはずだ。.
費用対効果が高いデータ処理による業績測定方法の新方式が安全当局で採用されている。これは国際民間航空機関ICAOの附則19号に準拠するものだ。航空技術の進歩で安全面での最大の脅威は人的要素になる。したがって人員の行動と報告により業界は将来を自信をもって展望できるようになるはずだ。
責任を擦り付け合わない風土がまず必要だ。安全管理の仕組みに安全重視の価値観を組み合わせ何気ない行動や結果でも報告さえてデータに基づく予防体制を充実させるべきだろう。この報告では安全を脅かしかねない目に余る、不注意で故意の行動をとった場合の責任の所在を明確にする。倫理学者ヴァージニア・シャープがこの作業を「前向きな責任感」と呼んでいる。
安全になってきた時代にふさわしくインシデントや事故の前兆そのものを減らす対策が必要であり、現状の低事故率だけ見て独善的になることは許されない。フライトには例外事項が毎回つきものであり、見逃したまま、報告されず共有されないと重大事態につながりかねない。想定外インシデントはニュースの種になるだろうが人命喪失や損害を伴う本当のアクシデントにならなければいいではないか。前兆現象の理解と緩和策、インシデントそのものの予防策で安全実績の新しい黄金時代がやってくるはずだ。
他の交通手段もデジタル時代に入り、特に自動車で高性能マシン学習による自律運転が実現しようとしている。残念ながら航空業界で安全面で世界規模のデータ共有が進まないのは法制度だけでなく経営側が情報管理や風評を懸念しているからに他ならない。事故情報が不足がちのまま交通量が世界各地で増えれば安全関連の情報共有と学びの過程で一台変化が必要がある。
運航乗員や空港で何かあれば民間航空やビジネス移動での絡み合ったネットワークに影響が直ちに発生する。デジタル情報共有は国境や企業の壁を超越すべきだ。
このため2015年度にグローバル安全情報プロジェクト Global Safety Information Project (GSIP)がFAAの協賛で立ち上がり、当Flight Safety Foundation財団が運営管理を任されている。安全評価フォーカスグループが米大陸とアジア太平洋地区で2016年に立ち上がりユーザー向けツールセットを作成中だ。当財団はウェビナーを開催しツールセットの原型を共有した。また安全実績指標調査の追加評価をしておりツールセットにより多くの事例を2018年度に盛り込む予定でツールの一貫利用体制が生まれる。
予想される航空交通量の倍増でGSIPの取り組み方が明確に支持されるはずだ。誇らしく思う反面、当財団だけで実現できる規模ではない。エアライン、ビジネス航空界、機体装備メーカー、空港、規制当局、航法サービス提供業、調査機関、各地自治体といった業界の全関係者がバラバラでは航空安全が危うい。各機関にそれぞれ思惑があろうが、当財団関係者がいみじくも言ったように「安全に決まったやり方はない」のである。各方面がそれぞれの貢献を通じ大量の利用客を緊密につながった世界で無事送り届ける究極の実績作りの基礎の進展に参加できるはずだ。■
Jon Beatty
Jon Beatty is the president and CEO of Flight Safety Foundation.

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