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MH370 便の行方を解析したインマルサットの功績とはどんなものだったのか

Routine Data Analysis Helped Inmarsat Pinpoint MH370's Path

By Sean Broderick sean.broderick@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com March 24, 2014

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インマルサットは「画期的だが従来からの数学を基礎にした手法」での同社衛星を利用した各機のデータを解析し、マレーシア航空MH370便の飛行経路を絞り込んだ。

同社の第一次解析は3月11日に捜査当局に渡されており、同便が飛行した可能性がある南北の飛行範囲が狭められた。同機は3月8日にレーダーから消えたのはアンダマン海上空であった。

だが同社はさらにデータ解析を進め、同機が最後に到達したと思われる地点はインド洋の中、パースから南西の地点だっったと3月23日に結論付けた。

インマルサットがおこなったのは「ドップラー偏移」“Doppler shift” を利用した計算で無線交信中の航空機が移動すると、衛星との相対的な位置で周波数が微妙に変化する現象の利用だった。

波長の拡大縮小から機体が接近しているのか遠ざかっているのかがわかる、と同社は説明。画期的とはいうものの以前からある数学を基にした作業で宇宙産業の同業他社の監修を受け、とりわけボーイングの援助が大きかったという。MH370の発信で生まれた電子音はインマルサットの第10号衛星に向かっていたもので、このデータを解析した同社は機内に搭載したインマルサットのエイビオニクスとアンテナを携帯電話に例えて説明した。衛星通信リンクを使うACARS(航空機通信報告システム)のようなアプリは切ってあったが、ハンドセットは切っていなかったと説明。

MH370便から定常的な通信が入ってこないなため、インマルサット衛星は一時間ごとに同機に「照会信号」を送信していた。同機が稼働状態にあれば、受信確認信号が機体から返され機体識別コード、機体の衛星通信が作動状態にあり交信可能であることの確認ができるという。

インマルサットは各種信号情報からMH370は接触が切れてからも約6時間は飛行していたと結論づけた。さらに深く解析して同社と英国航空事故調査部門は最後の信号音からインド洋南部の遠隔地上空をつきとめた。
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発見された破片とMH370の関連付けはまだできていないが、上記の詳細解析だけでマレーシア当局は同機が海上に墜落したと確信した。

マレーシア首相ナジブ・ラザクMalaysian Prime Minister Najib Razak は3月24日に「インマルサットと英国事故調査部門はMH370便が南部回廊に沿って飛行し、最後の同機の一は南インド洋の中央部、パースの西であったと結論づけた」と発表している。

今回判明した地点は「遠隔地」であり「着陸可能などの地点からも遠い」と同首相は説明。「したがって深い悲しみと哀悼で皆さんにMH370便は南インド洋に墜落したとお知らせしなければなりません」■

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