スキップしてメイン コンテンツに移動

NTSBから明らかになったアシアナ214便事故の様子

Asiana 214 Pilot Hints At Autothrottle Confusion


By John Croft john.croft@aviationweek.com
aviationweek.com July 09, 2013
Credit: Justin Sullivan

アシアナ航空214便で教官役パイロットから同機の自動スロットルで137ノットが自動維持されていると思い込んでいた、と事情聴取にこたえていることがわかった。

高度を低くしすぎて速度を落としすぎたままのアプローチで同機は滑走路前の護岸壁に激突したのは、パイロット両名が着陸をやり直そうと懸命になっている時点のことだった。左席のパイロットは777操縦資格を取得途中でで同機に搭乗していた。

国家運輸安全委員会、韓国事故調査チーム、アシアナ航空同席のもと7月8日9日にわたりこの教官パイロットから同機が高度4,000フィートでアプローチ開始した時点で「やや高すぎた」状態であったとの発言があった。そのため降下率を一分間1,500 ft.にしていたとNTSBデボラ・ハースマン委員長が明らかにしている。7月8日に同委員長からパイロット両名が高度1,600 ft.でオートパイロットを解除し、手動操縦でアプローチしようとしたと追加発表があった。

教官パイロットから調査団に対し 500 ft.で有視界グライドスロープの下にあることが精密アプローチ軌跡表示機precision approach path indicator (PAPI) の表示灯からわかったと証言。赤灯三つ白灯ひとつだったという。正しいグライドスロープをとればパイロットには赤白二つずつに見える。電子式グライドスロープが計器着陸で使われるのが一般的だが、事故当日のサンフランシスコ空港では滑走路工事のため使用不能になっていた。

「教官パイロットから機長席パイロットに操縦桿を引け、と命じていた」とハースマン委員長は明かす。「教官パイロットは速度を137ノットにし、自動スロットルによりその速度を維持できると信じていた。」自動スロットルは自動的にエンジン推力を増減し飛行速度を維持することができる。NTSBはその時点でオートスロットルがなぜ作動していなかったのかを調査中で、作動している信じ込んでいた教官パイロットが当惑していた背景を探る。

ハースマン委員長によると事故直後のコックピット内では自動スロットルのスイッチが入っていたという。飛行速度が低ければパイロットが作動させなくても自動的にシステムが動く。フライトレコーダーのデータでは速度は134ノットに減速していたことが示されており、高度は 500 ft. だったが、衝突3秒前に103ノットまで落ちていた。

高度が500 ft.から200 ft. まで落ちる間に両パイロットは機体制御の回復をしようとしていた。「200 ft.でPAPIは赤灯四つで速度は危険水準だった」と同委員長が発言。その時点で録音テープでパイロットに失速警告が出ている。教官パイロットがその時点で自動スロットルで速度の維持ができていないことに気づき、機首上げゴーアラウンドの姿勢にした。さらにスロットルを前方に倒し、出力増を試みているが、すでに操縦中の機長が同じことをしていた。
.
フライトデータレコーダー記録では両パイロットがエンジン出力をアイドルからあげようとしたのが高度 125 ft.で、出力50%まであげたのが衝突3秒前だった。両パイロットからは衝突後の機体が「風船のように膨れた」のち、左に進路をそれて360度スピンしたと証言しているとハースマン委員長が明らかにした。

機長席パイロットは同社の777操縦資格過程途中で、その時点で操縦10回飛行時間35時間だったという。同社の規定では操縦20回60時間が必要とされている。

また同機には4名のパイロットが搭乗しており、事故の時点でうち3名がコックピットにいたという。訓練中の機長席パイロット、教官パイロットに加えこの三番目のパイロットはジャンプシートにすわっていた。

なお教官パイロットには今回が初の教官役で、件の訓練パイロットと一緒のフライトも初だった。ハースマン委員長によればパイロット全員が事故後にドラッグあるいはアルコール検査を受けていない。米国エアラインではこの検査は必須だが、外国エアラインは対象外だという。

コメント

このブログの人気の投稿

2024年11月5日、アリゾナ州、ホンダジェット、機内4名+地上巻き添え1名死亡―ホンダジェットで初の人身事故となった同機は離陸中止後に滑走路で止まりきれず、地上車両と激突した

Date: Tuesday 5 November 2024 Time: c. 16:39 LT Type:      Honda HA-420 HondaJet Owner/operator: Ice Man Holdings LLC Registration: N57HP MSN: 42000033 Engine model: GE Honda HF120 Fatalities: Fatalities: 4 / Occupants: 5 Other fatalities: 1 Aircraft damage: Destroyed Category: Accident Location: Falcon Field Airport (MSC/KFFZ), Mesa, AZ -   United States of America Phase: Take off Nature: Private Departure airport: Mesa-Falcon Field, AZ (MSC/KFFZ) Destination airport: Provo Airport, UT (PVU/KPVU) Investigating agency:  NTSB Confidence Rating: Information is only available from news, social media or unofficial sources Narrative: A Honda HA-420 HondaJet, N57HP, was destroyed when it crashed during a takeoff attempt from runway 22L at Falcon Field Airport (MSC'KFFZ), Mesa, Arizona. Four occupants of the aircraft, including the pilot, and the vehicle driver perished. ADS-B data suggests the airplane had accelerated to about 133 knots groundspeed before it ab...

お知らせ―新ブログの追加について

いつも当方のブログをご愛読いただきありがとうございます 昨年からの大きな流れが今年は形になり、私達の世界が大きく変わろうとしています。 より端的に言って、コモンセンスの勝利が続いています。 米国ではトランプを支援すると口にできなかった層が世論調査ではハリス支援、もちろん と答えたため世論調査は無効になってしまいました。 米国内が無茶苦茶になった理由としてこれまで民主党が支配してきたDEI思想など「目覚めさせる」ことをミッションとした「進歩派」の主張があまりにも前に出て、世の中がおかしくなっていくと感じつつも前述のように他人の目を気にして「支持」してきた人たちも、さるがにこれではおかしくなる一方だとトランプに一票を入れたのでしょう。 そうした人たちにとって唯一の選択基準はどちらが「コモンセンス」に近いかという点で、かならずしもトランプのすべてを肯定して一票を入れたのでしょう。(ハリスがあまりにもおかしすぎたと思ったはず) これまで航空宇宙や海軍関連、さらに安全保障などの話題を中心にお送りしてきましたが、ここに来てそれではカバーできない話題に注目するようになってきました。 そこで今回新しいブログチャンネルを追加することにしました。 タイトルをどうしようと考えて、コモンセンスなので「こもんせんす」にしようとしまいたが、尊敬する故江藤淳のエッセイ集こもんせんすとかぶるので「こもん・せんす」とします。  こもん・せんす でお送りしたいこと いわゆる「保守派』米メディアを中心に注目する記事をお伝えします。 それ以外に当ブログのオーナーとして気になる話題についてオピニオンをお伝えします。 当面は反DEIなどトランプ大統領のすすめる「改革」関連が多くなりそうですが、決してトランプ礼賛のブログにはならないでしょう。 ご期待ください。 なお、当ブログオーナーの運営するブログチャンネルは以下のとおりです。 航空宇宙ビジネスターミナル1 民間航空宇宙  https://aviationspacebusiness-civilaviation.blogspot.com/ 航空宇宙ビジネスターミナル2 軍用航空安全保障  https://aviation-space-business.blogspot.com/ Aviation & Space News from Japan https://a...

済州航空のボーイング737-800が韓国の空港での墜落事故の第一報(Aviation Week)

  2024年12月29日、務安国際空港に墜落した済州航空737-800の残骸。 Credit: Chung Sung-jun/Getty Images 韓国の済州航空が運航していたボーイング737-800が12月29日務安空港でギアを格納したまま着陸を試みた後、コンクリート壁に衝突し、炎上破壊された。 7C 2216便は乗客175人と乗員6人を乗せ、バンコクから韓国南西部に位置する務安へ向かっていた。179人の乗客・乗員が死亡した。韓国国土交通省によると、乗員2名が救助されている。 韓国国土交通省は、フライトデータとコックピットのボイスレコーダーは回収されたとし、8人の航空事故調査官と9人の航空安全関係者で構成されるチームが現場にいると付け加えた。 この事故は、2024年における世界最悪の事故であり、12月25日にアゼルバイジャン航空のエンブラエル190型機がロシアの対空砲火を受け、カザフスタンのアクタウに墜落して以来、2度目の死亡事故となった。 済州航空機は当初、務安の滑走路01に進入中だった。同省によると、事故の6分ほど前、航空管制官が周辺に鳥がいるとの警告を発した。同省によると、その1分後(現地時間午前8時58分)、乗務員は最終アプローチ中に緊急事態を宣言し、迂回することを選択したという。また、フライトトラッキングサイトFlightradar24によると、航空機はその時点でADS-Bデータの送信を停止したという。 Flightradar24が公開したデータによると、同機は滑走路01への進入の最後の2分間、最大2,000フィート/分で一時上昇するまでの間、ほぼ700-800フィート/分の標準的な降下速度で飛行していた。 滑走路01へのショートファイナルで空港に進入する同機のビデオには、フラップとランディングギアを上げた737の姿が映っている。右エンジンは煙と炎を発していた。 同機はその後、滑走路19(現地時間午前9時3分に着陸を試みたのと反対方向の同じ滑走路)への着陸を許可された。 墜落のビデオには、着陸装置もフラップも展開されないまま滑走路を滑走する機体が映っている。長さ2,800メートルの滑走路の端をオーバーランした。航空機はその後、滑走路から数百フィート離れたコンクリートの境界壁に衝突し、炎上した。 エイビエーション・ウィーク・フリート・ディスカ...