2022年5月16日、ロシア・モスクワのクレムリンで開催された集団安全保障条約機構(CSTO)首脳会議に出席したロシアのプーチン大統領。 Sputnik/Sergei Guneev/Pool via REUTERS ATTENTION EDITORS - This IMAGE WAS PROVIDED BY A THIRD PARTY./File Photo
(この記事は航空分野の安全保障を扱うターミナル2と共通内容です)
クリスマスの日、アゼルバイジャンの首都バクーとロシアのチェチェンの首都グロズヌイ間を飛行していたアゼルバイジャン航空機が、ロシアの対空ミサイルによって撃墜された。墜落寸前の降下が広く撮影された同機は、本来の目的地とはカスピ海の反対側にあるカザフスタンの飛行場に着陸に失敗し墜落した。少なくとも38人の乗客乗員が死亡した。
ロシア軍が墜落に関与した証拠は圧倒的だ。旅客機はコースから数百マイル外れており、おそらく戦争によるロシアのGPS妨害が原因だろう。乗客は窓から主翼の損傷の様子を撮影しており、胴体にはミサイルの破片の跡があった。
悲劇が起きたとき、アゼルバイジャンのイリハム・アリエフ大統領はロシアのプーチン大統領との首脳会談に出席するためサンクトペテルブルクにいた。悲劇に直面したアリエフは急いでバクーに戻り、プーチンは一般的な哀悼の意を表明していた。
しかし、その後の数日間で、アリエフは国民に恥をかかせ、クレムリンの支配下にあることを世界に知らせてしまった。
ロシアのミサイルがアゼルバイジャン航空機を墜落させたという証拠が積み重なっても、プーチンは責任を認めようとせず、アリエフもそれを要求するのを恐れていた。
代わりに、アゼルバイジャン航空は墜落を説明するために「外部からの干渉」などというイタチごっこを使っている。これは、国土安全保障省のジャネット・ナポリターノ長官がテロリズムを "人災"と言い換えた時以来の馬鹿げた言い回しである。
プーチンの責任回避の努力をさらに悪くしているのは、ロシアが民間ジェット機を墜落させたのは今回が初めてではないという事実だ。
冷戦末期、ソ連による大韓航空007便の撃墜は、当時の多くの人々が思っていた以上に世界を核戦争に近づけていた。ちょうど10年前、ウクライナのロシア軍パルチザンが、アムステルダムからクアラルンプールに向かうマレーシア航空17便を撃墜し、乗員乗客298人全員が死亡した。この悲劇を調査したオランダの安全委員会は、ロシアのブーク9M38シリーズ地対空ミサイルが墜落原因と結論づけた。オーストラリア、ベルギー、マレーシア、オランダ、ウクライナのる合同調査チームもこの調査結果を支持した。
しかし、それに比べてアリエフは臆病者だ。自らを西側の盟友のように装っている。ウクライナ戦争が始まって以来、いや、それ以前から、彼は外交関係の軸足を西側からロシアの陣営に移してきた。アリエフの下で、アゼルバイジャンはプーチンが制裁逃れの主要なパイプ役となっている。事実上、アリエフは自国民の利益よりも、制裁逃れスキームにおける自分の分け前を優先しているように見える。
アゼルバイジャンの人々は、世界で最も残忍な独裁国家のひとつに住んでいるのだから、仕方がないのかもしれない。しかし、米国と欧州諸国は、ロシアに責任があることをはっきりさせるべきだ。もしアリエフが、プーチンに乗客の家族への補償金支払いの要求もしなければ、アゼルバイジャン国民は立ち上がり、次の指導者を見つけるべき時なのかもしれない。■
著者について マイケル・ルービン博士
アメリカン・エンタープライズ研究所シニアフェロー、中東フォーラム政策分析ディレクター。 元国防総省高官で、革命後のイラン、イエメン、戦前・戦後のイラクに滞在。また、9.11以前にはタリバンと過ごしたこともある。10年以上にわたり、アフリカの角や中東の紛争、文化、テロリズムについて、米海軍や海兵隊の派遣部隊向けに海上で授業を行った。外交、イラン史、アラブ文化、クルド研究、シーア派政治に関し著書、共著がある。筆者の見解は彼自身のものである。
Azerbaijan’s Air Tragedy: The Next Crisis for Russia and Putin
By
Michael Rubin
https://www.19fortyfive.com/2024/12/azerbaijans-air-tragedy-why-russias-putin-wont-own-up/
コメント
コメントを投稿