2011年5月28日土曜日

エールフランス447便:墜落直前の再現データをBEAが公表

Doomed AF447 Stalled, Investigators Say

aviationweek.com May 27, 2011

エールフランス447便は2009年6月1日の墜落寸前数分間は失速状態であったとフランス事故調査当局BEAのよるデータ解析が明らかにした。

  1. BEA は27日にフライトデータレコーダーとボイスレコーダーの第一回解析結果を公表した。それによると同機の左側の統合待機計器システム(ISIS)の速度表 示に矛盾があったという。そのことが意味するのはピトー管の凍結で速度データが誤って伝わりコンピューターに入った可能性があることだが、BEAはこの点 を説明していない。速度データの不一致は一分間未満続いている。

  2. 発 表された全4ページの報告書の中心は以下の点。失速状態が3分30秒間継続している。同機は巡航高度 35,000 フィートからオートパイロットを解除して38,000 フィートに上昇している。実際に失速してから失速警報がコックピットで作動しているのが聞こえる。操縦担当パイロットは機首上げのインプットをしており、 推力を最大に上げている。この3分30秒間に同機は失速状態のままで迎え角は35度を越えている。エンジンは作動状態のままでパイロットによるインプット に正常に反応している。重量バランスは限界範囲内で記録の最終時点でもそのままだったが、ピッチは16.2度機首上げのままで垂直面の速度は毎分 10,912 フィート。

  3. 機長は休息を取るため一度コックピットを離れていたが、オートパイロット解除の90秒後に戻っている。

  4. さらに以下が明らかになっている。午前1時59分、副操縦士二名は機長とともにブリーフィングをしている。操縦担当パイロットより「若干のタービュランスあり、雲層のため今はこれ以上高度を上げられない」旨方向があり、機長はコックピットを離れる。

  5. 午前2時6分 操縦担当パイロットからクルーに対しタービュランスに備えるよう連絡。その二分後同機はやや左に振れ、およそ12度方向を変える。タービュランスが大きくなり、クルーは速度をマッハ0.82から0.8に減速。

  6. 午前2時10分5秒 オートパイロット、オートスラストが解除、操縦担当パイロットが操縦を宣言。機体は右にロールし、パイロットは機首上げをインプット。失速警報が二回流れる。左側の速度表示は275ノットから60ノットへ低下。その直後ISISにも同じ表示が出る。

  7. 迎え角が10度以上ぞ華氏、同機は上昇を開始するが、パイロットは機首下げのインプット左右ロールのインプットをする。垂直面速度は毎分7,000フィートを超過。フライト表示は速度215ノット(マッハ0.68)、高度37,500フィートを示す。

  8. 午 前2時10分51秒に失速警報が再度流れる。スラストレバーは離陸ゴーアラウンド一にあり、機首上げインプットがパイロットからあり、迎え角が増える。機 体は高度35,000フィートになり迎え角は40度を超えた段階で機体は毎分10,000フィートほどで降下を開始。エンジンN1出力は100%に近づ く。
  9. 午前2時12分02秒 操縦担当パイロット「これ以上の兆候なし」と発言。その15秒後、操縦担当パイロットはピッチダウンのインプットをし、迎え角が下がるが、失速警報が作動するものの、回復ができない。
  10. その50秒後にパイロット「高度100になる」、15秒間正副パイロットが同時に制御インプットをしているのが記録されている
  11. エアバス社からは声明文で今回解明された記録は初期および中間報告で発表されていた内容と一致しており、「一連の事態の解明に大きな一歩」と評価している。
  12. 一 方、エールフランスは「操縦クルーは天候状況の変化を把握していたので飛行経路の変更をしており、最初の問題は速度測定機器の故障でオートパイロットの作 動ができなくなり、関連システムの補助が得られなくなったので機体が高高度で失速した。また機長が休憩を早めに切り上げてコックピットに復帰しているのが 明らかになった。クルーは経験の長いパイロット三名で非の打ち所が無いプロとしての姿勢を示し、最後の瞬間まで責務を果たしており、当社は各人に賛辞を贈 るものである」と発表。
  13. 墜落で機内228名全員が死亡。BEAが次回報告を公表するのは6月末になると見られる。

2011年5月22日日曜日

5月18日 サーブ340 死亡22名

発生日時 2011年5月18日 現地時間20:50ごろ
機種 サーブ340A
運行者 SOL Líneas Aéreas
フライト番号 5428
登録番号 LV-CEJ
機齢 26年
エンジン GE CT7-5A2 二基
乗員 3名 (うち死亡 3名)
乗客 19名 (うち死亡19名)
機体状況 修復見込みなし 登録抹消
事故発生場所 アルゼンチンPrahuaniyeu北20キロメートル
出発空港 Neuquén Airport, NE (NQN) (NQN/SAZN),
目的地 Comodoro Rivadavia Airport, CB (CRD) (CRD/SAVC),

事故機サーブ340A(登録番号LV-CEJ)はコルドバからメンドーサ、ネウケン経由で、コモドロリヴァダヴィアへ向かっていた。ネウケンを20:08に離陸したのが同機の最後となった。最後の無線交信は20:50であった。同機は山地に衝突しているのが発見された。

2011年5月20日金曜日

A380エンジン破損事故の中間報告

ATSB Confirms A380 Engine Failure Sequence
aviationweek.com May 18, 2011
オーストラリア運輸安全局(ATSB)は5月18日にカンタス航空のエアバスA380 で昨年11月4日に発生したロールスロイス・トレント900エンジンの事故原因がオイル補給パイプの製造に不良があったためと確認した。同事故での死傷者はなく、シンガポール空港を離陸直後に発生しているが、エンジンの一部分解で同機はシステム作動不良に陥り、機体にも損傷が発生している。現在も同機VH-0QAはシンガポールで修理を待つ状態だ。

  1. 事故調査官は最終発表は来年としながら、事故原因究明の調査をエンジン以外でも進めている。
  2. 中圧タービンディスクの爆発により広範囲なシステム停止、機能低下が発生し、操縦制御は困難となったが結果として同機は重量超過のままシンガポール・チャンギ空港に着陸している。 トレント900エンジンは離陸後およそ3分後に事故をおこし、部品をインドネシア領バタム島上空にばらまいたが、死傷者はいなかった。
  3. 「調査結果で判明したのは中圧タービンディスクが速度超過の結果で破損し、中圧タービンディスクがエンジンケースを貫通し、主翼構造部にも損傷を与えたことである。ディスク破損の原因は製造工程の不良がオイルフィードパイプ にあり、該当部分の肉厚が不足していたところにフィルターを取り付ける加工をしていたことにある。」(ATSB報告書)
  4. オイルフィードパイプが支えていた部分ではエンジン運転により疲労によるひび割れが発生し、エンジン内部でオイルが発火し、中圧タービンディスクを傷めた。その結果、ディスク周辺部で破損が広がり、その後ディスクが中圧タービンシャフトから外れた。ディスクが分離したことで、バースト速度が加速されたことになり、これが同機第二エンジンの破損につながり、機体構造およびシステムが損傷を受けたのだ。
  5. 今回の事故を受けて極めて多くの組織が調査活動に参加している。ATSBが中心となり、フランスのBEA、英国の航空事故調査局(AAIB)、シンガポールの航空事故調査局、インドネシアの国家運輸安全委員会が加わり、さらにロールロイス、エアバス、SAFRAN Sagem、ハネウェル、Aerolec UK、シンガポールのエアロエンジンサービシズが専門意見を提供している。
  6. オイルフィードパイプが事故原因と見られるが、ATSBはパイプの破断原因を解明しようとしている。金属疲労がパイプ周辺部にひびを起こしたと思われているが、核心は最低でも0.5ミリメートルと定められている肉厚を減らすことになったボアリングの位置のずれであることが判明したのだ。 

2011年5月19日木曜日

AF447便のデータ回収で高まる事故原因究明

BEA Downloads AF447 Recorder Information
aviationweek.com May 16, 2011

フランス当局はAF447便のコックピットボイスレコーダーおよびフライトデータレコーダーからのダウンロードに成功した。

フランス事故調査機関BEAによるとボイスレコーダーからは墜落直前2時間分のデータが回収されたという。
BEAは今後数週間をかけてデータ解析を行い、今夏に中間報告を公表する。 最終報告は来年になる見込み。
これで乗客乗員228名が犠牲となったエアバスA330-200 型機の墜落事故原因の解明が進むことが期待される。 同機は悪天候に遭遇し、ピトー管が着氷していたと推定されるが、それが事故に結どのように結びついているかは未解明だ。
エアバスとエールフランスがAF447 便の機体捜索の費用を折半紙、事故原因の究明に役立つデータの回収を期待してきたのが実現したことになる。.

2011年5月10日火曜日

インドネシアの航空安全が再度疑問を投げかけられる

Indonesia Again In Safety Spotlight

aviationweek.com May 9, 2011

航空安全の悪評を払拭しようというインドネシア政府の努力に水をさしたのが5月7日発生したメルバチ・ヌサンタラ航空のMA-60ターボプロップ機墜落事故だ。 MZ8968便は乗客乗員27名を乗せてカイマナ・ウタロム空港滑走路の手前600メートル地点で墜落した。事故当時の天候は豪雨強風だった。

  1. 事故機登録番号PK-MZKは西安航空機が昨年製造したもので、累計飛行時間は615時間、飛行サイクル764回だった。
  2. インドネシアはEUが同国の複数のエアラインを安全性を理由に2007年に飛行受け入れ禁止にしてから安全性確保の努力をしているところだった。
  3. EUは今年3月に同国に対し「国内運行中の機体の中でICAOが必要とする装備をして安全性が確保されているのは9%のみであり、装備の除外適用は2011年末に失効し、その後は未装備の機体は飛行できなくなる」と伝えている。
  4. メルパチ・ヌサンタラ航空はこれまでも問題の焦点になってきた。ボーイング737のオーバーラン事故で負傷者20名、という事故がマノカウィ空港で発生し、EUブラックリストに載ってからも2009年に死亡事故を起こしている。
  5. MA-60機墜落事故はインドネシア国内では今年二回目の事故で、前回はビンタン島でCasaアビオカーが墜落している。

2011年5月9日月曜日

5月7日メルパチ航空西安MA60


メ ルパチ空港西安MA60旅客機がインドネシアのカイマナ空港近郊で墜落。同機の乗客21名と乗員6名が全員死亡。事故発生当時は強雨かつ強風の悪天候とイ ンドネシア運輸省は発表。同機は海上で墜落。滑走路から約600メートル離れた地点で水深15メートル。同機は2008年製造だが、昨年12月にメルパチ 航空に引き渡すまで西安航空機内に保管されていた。(写真は同社運航の同型機)

2011年5月4日水曜日

AF447便のボイスレコーダーも回収に成功

AF447 Cockpit Voice Recorder Recovered

aviationweek.com May 3, 2011


フランス航空事故調査機関BEAがエールフランス447便のコックピットボイスレコーダーを5月2日回収に成功した。

これは5月1日のフライトデータレコーダー発見に続くもので、両方ともフランス海軍艦艇に引き渡されフランス領ガイアナからパリのBEA本部へ空輸され解析される予定という。

コッ クピットボイスレコーダーにより事故発生当時の乗務員の正確な勤務状況が解明されると期待される。同機は極度の悪天候の中飛行していたと判明している。フ ライトデータレコーダーが解読可能でデータ提供出来れば墜落までの状況が判明する。ボイスレコーダーも乗務員の意思決定過程を解明する点で同じように重要 だ。

双方の装置はRemora6000無人潜航艇により発見されたもの。

コメント よかったですね。これで一気に謎が解明され、今後の安全性確保に役立てはいいのですが、二年間近くも海底にあったデータが解読できる事に期待しましょう。

2011年5月2日月曜日

AF447便のフライトデータが回収された

Air France 447 FDR Memory Unit Recovered
aviationweek.com May 1, 2011

エールフランス447便墜落事故の調査チームがフライトデータ記録装置のメモリー部分の回収に成功した。メモリーは調査船に現地時間日曜日の午後に到着。調査機関BEAによるとメモリーの状態は良好とのこと。

447 便はエアバスA330-200を使用しブラジル沖大西洋上で2009年6月1日に行方不明となっている。同便はリオデジャネイロから乗客乗員228名が搭乗しパリへ向け飛行中だった。墜落直前にACARSメッセージが発信されておりピトー管から誤った速度データが伝わっていたのが示されている。この原因は着氷であろうと見られている。オートパイロットはじめ自動運航システム複数が停止していた。ただ制御が可能な状態だった同機でなぜパイロットが操縦不能になったのかは不明なままだ。

BEAはフライトデータの解析をパリで行う予定だが、コックピット内のボイスレコーダーはまだ見つかっていない。

2025年7月24日、ロシア、An-24、死亡49名

  アンガラ航空2G-2311便(アントノフAn-24RV)はロシアのティンダ空港(TYD)近くの森林に墜落した。49人が搭乗していた。 同機はハバロフスク発ブラゴヴェシチェンスク(BQS)およびティンダ(TYD)行きの便で運航されていた。 フライトは現地時間11時21分にBQS...